風通織とは、2種の経・緯糸を用いて2枚の織物を同時に織りあげ、接結させた二重織です。
表側は、表たて糸と表よこ糸。裏側は、裏たて糸と裏よこ糸で織られます。生地の色の境目で、生地の表と裏の組織が反転しているのはそのためです。
風通には以下のような特徴があります。
- 細い糸で織られた薄手の生地でありながら、二重織なだけに生地が丈夫で、風合いはしなやか。
- 二重織(多重織、または文織*1そのものにも言える)の2種類の色糸が織り重なった時に見せる中間色の独特な表情がある。
- ある接点で表裏を交換して文様を表すため、文様の出が鮮やか。
この風通着尺「茶の葉」は、風通に備わる魅力――しなやかさ、中間色の独特な表情、鮮やかな文様――が如実に表れた織物と言えるのではないかと思います。
*1文織(紋織):平織・綾織・繻子織・絡み織など、各種の組織の変化や、地合と異なる組織や各種の緯糸を用いて文様を織り表した織物の総称。錦、唐織、朱珍など。
(2012年9月) |